「親なきあと」のための
​成年後見制度FAQ

障害のある方の成年後見制度について、よくあるご質問をQ&A形式でまとめています。

​成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」がありますが、このページではご質問の多い法定後見をベースにしております。

ご意見・ご質問等がございましたら、随時追加していきますので、メールフォームよりお気軽にお問い合わせください。

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後見報酬・費用

03 後見報酬を払い続けられない場合は家族が払うの?


ご家族が払う必要はありません。 前提として、後見報酬について目安が公表されていますが、これはあくまで目安です。管理財産額(ご本人の流動資産額)が少ない場合、目安を大きく下回ることもあります。そのため、皺寄せは、ご本人やご家族ではなく成年後見人等にいくとイメージいただければよいと思います。 また、成年後見制度利用支援事業(市区町村必須事業)により、報酬助成が受けられることもあります。助成の条件は市区町村により異なりますので、報酬に不安のある方は事前にご確認いただくことをおすすめします。 成年後見制度は、判断能力が十分でない方を保護するための制度です。生活できなくなるくらい報酬がかかることはありませんのでご安心ください。




04 成年後見制度利用支援事業による報酬助成の注意点


報酬助成について、市長申立てが条件である場合があります。よくあるケースとして、疎遠な親族が「せめて申立てだけでも」と思い、申立てだけしてフェードアウトする方がいらっしゃいます。この場合、市長申立てであれば報酬助成が受けられたのに・・・となってしまうことがあります。 そのため、ご本人の財産額が少ない場合、申立ての前に報酬助成の条件について確認されることをおすすめします。




02 後見報酬以外にかかる費用はあるの?


成年後見人等が、後見業務をするうえでかかる費用(実費)は、ご本人の負担となります。たとえば、住民票・戸籍謄本、後見登記事項証明書の取得費用や交通費などが代表的なものです。 成年後見人等は、これらを逐一家庭裁判所に報告する必要はありません。ただし、領収書等を保管し、いつ何のために支出したかわかるようにしたうえで、ご本人の預貯金口座から引き出して精算することになります。




01 後見報酬はいくらかかるの?


後見報酬は、必要な事務やご本人の流動資産額などを総合的に考慮し、家庭裁判所が決めることになります。後見人等が勝手に決めることはできません。 図表のとおり、後見報酬には、「基本報酬」と「付加報酬」の2種類があります。 基本報酬は、通常の後見事務に対して、年に1回支払われる報酬です。 付加報酬は、不動産売却や相続などイレギュラーな事務が生じた場合に支払われる報酬です。 詳しくは、家庭裁判所が公表している「 成年後見人等の報酬額の目安」を参照ください。 ※リンクは、さいたま家庭裁判所のものです。




05 後見報酬はどうやって払うの?


まず、成年後見人等は年に1回、定期報告というものを家庭裁判所に対して行います。 定期報告は、ご本人の生活面の変化や財産状況などを報告するものです。 この定期報告の際、成年後見人等は「 報酬付与申立書」というものをあわせて提出します。1年間の後見業務について、後見報酬を付与してくださいといった趣旨のものです。 これに対して家庭裁判所は、報酬付与の審判を行います。 成年後見人等は、この報酬付与の審判を根拠に、自らが管理するご本人の預貯金口座から報酬額を出金し、受領することになります。 月額表記されることが多い後見報酬ですが、実際のお金の動きは「年1回の後払い方式」となります。




06 親やきょうだいが成年後見人等になれば後見報酬はかからない?


 先述のとおり、後見報酬は、成年後見人等が家庭裁判所に報酬付与の申立てをし、それに対する審判によって発生します。そのため、定期報告のみ行い、報酬付与の申立てをしなければ報酬は発生しません。





成年後見人等について

01 誰が成年後見人等になるの?


成年後見人等になるために特別な資格は必要ありません。障害のあるご本人からみて、 親御さん・きょうだいその他親族以外にも、専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士など)や市民後見人、法人などが成年後見人等に選ばれることもあります。




03 申立てをするときに成年後見人等の候補者は必ず必要?


成年後見制度利用の申立てをする際、成年後見人等になってほしい人(候補者)を挙げることができます。もちろん、候補者がいない場合は、そのまま申立てをすることもできます。その場合は、司法書士や社会福祉士などの専門職や法人が成年後見人等に選任されることになります。そのため、自分で候補者が見つけられないから申立てができないということはありません。




04 申立てをするときに挙げた候補者は必ず選任される?


申立ての際に、後見人等候補者(後見人等になってほしい人)を挙げられますが、候補者が必ず選任されるとは限りません。ご本人との関係や状況等さまざまな事情から勘案し、家庭裁判所が決めることになります。 たとえば、候補者が選任されないケースとして、以下のような場合が考えられます。 ①既に高齢の親御さん ②ご本人と金銭の貸し借りがあるような方 ③いざというときに動けない方(著しく遠方に住んでいるなど) ④その他、ご本人と利害関係がある方 ※上記はあくまでも判断材料の一例です。




06 どうしても親が成年後見人等になりたいのですが・・・


前提として、親を「後見人等候補者」に挙げることは可能です。実際に、親が障害のあるご本人の成年後見人等になっているケースはよくあります。 ただし、親を「後見人等候補者」にする場合、以下の点に注意が必要です。 ・親の年齢 明確な基準はなく、あくまでも経験則ですが、おおむね親が70歳以上である場合、単独では選任されにくい(専門職等の第三者後見or専門職等との複数後見になる)傾向を感じます。 ・本人名義の預貯金口座の管理方法 特に、使途不明や本人の利益以外のための出金がある場合、家庭裁判所に指摘され、成年後見人等になれないことがあります。日頃から、本人名義の預貯金口座は、親御さんのものと分けて管理しておくことが望ましいと感じます。 また、「親なきあと」という視点で考えると、親が後見人等になること自体は「親なきあと」の根本的な解決にはなりません。もちろん、親が元気なうちは親が成年後見人等として支援し、ある程度の年齢になったら専門職や団体に引き継ぐといった方法は有効であると思います。 そのため、親が成年後見人等になる場合は、後見業務と並行して「親なきあと」に向けて信頼できる専門職や団体を探し、つながりをつくっておくとよいでしょう。




02 成年後見人等になるために資格は必要なの?


特別な資格は、必要ありません。 ただし、民法には、後見人の欠格事由として、以下のような規定があります。 民法第847条(後見人の欠格事由) 次に掲げる者は、後見人となることができない。 ①未成年者 ②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人 ③破産者 ④被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族 ⑤行方の知れない者 いずれも本人の支援が期待できない人です。




07 候補者が希望どおりに選ばれなかったから申立てを取り下げたい・・・


後見人等候補者が希望どおりに選ばれなかったなど、申立人の都合により、申立てを取り下げることはできませんので、ご注意ください。 あくまでも「本人にとって成年後見人等が必要」という状況は変わらないからです。 取り下げることはできませんが、「就任した成年後見人等の辞任+新たな成年後見人等の選任」や「新たな成年後見人等の追加選任」などの方向ですすめることは考えられます。




05 候補者になってほしい専門職がいないのですが・・・


「後見人等候補者」なしで申立てをすると、本当に知らない専門職が成年後見人等に選任されてしまいます。面談なしで決まることもありますのでご注意ください。 信頼できる候補者を探す方法として、専門職団体に問い合わせることをお勧めします。 社会福祉士であれば、お住まいの 都道府県社会福祉士会にお問い合わせください。 社会福祉士会のなかには、権利擁護センターぱあとなあという権利擁護団体があります。そこで、成年後見制度の利用を検討しているけれど「候補者がいない+事前に面談をしたい」とお伝えください。




08 きょうだいが成年後見人等になる場合に気をつけるべきことは・・・


障害のあるご本人からみて、きょうだいの方が成年後見人等になることも考えられます。その際の注意点として、実務についてきちんと理解しておくことをおすすめします。 「親から言われた」「ほかにやる人がいない」等の理由でよくわからないまま成年後見人等に就任したけれど、いざ業務をはじめると大変で投げ出してしまうといったきょうだいの方もいらっしゃいます。これでは、ご本人の安定した支援が担保できないことだけでなく、きょうだいの方にとっても大変な負担となってしまいます。 そのため、親族が成年後見人等になる場合は、いつ・どんなことをするべきなのかを理解いただいたうえで検討されることをおすすめします。実際に必要な事務手続きなど、実務の面でご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。




09 親権に基づく任意後見をしないと親が成年後見人等を選べないの?


親が候補者をあげられます。 その候補者が候補者名簿に登録している専門職であれば、所属団体が推薦してくれますので、特段事情がない限り選ばれます。 たとえば、候補者が社会福祉士である場合、その候補者が社会福祉士会の権利擁護センターぱあとなあ(社会福祉士会の権利擁護団体)に所属しており、名簿登録されている人であれば、特段事情がない限り選任されるといった具合です。 つまり、信頼できる専門職を探して、候補者としてあげれば、その専門職団体が推薦してくれますので、実質的に親の思い通りの成年後見人等が選任されることになります。





利用開始前

04 どこの家庭裁判所に申立てをするの?


本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。 裁判所のホームページからご確認ください。 申立人の住所地ではありませんのでご注意ください。




03 誰が申立てをできるの?


本人、配偶者、4親等内の親族です。 なお、障害のあるご本人からみて4親等内の親族の一例は、以下のとおりです。 1親等=父母 / 子 2親等=祖父母 / きょうだい / 孫 3親等=曾祖父母 / 叔父母 / 曾孫 / 甥姪 4親等=高祖父母 / 大叔父母 / いとこ / 玄孫 / 甥姪の子 もし、上記による申立てが困難な場合は、お住まいの市区町村長による申立てをすることになります。




02 成年後見人等は何をしてくれるの?


成年後見人等は、ご本人の意思を尊重し、生活の状況や心身の状態に配慮したうえで、本人を支援します。 職務内容は、大きく分けて「身上監護」と「財産管理」の2つです。 身上監護とは、障害福祉サービスの利用契約や利用料の支払い、障害福祉サービス受給者証の更新、その他行政手続き全般を指します。障害福祉サービス事業所の生活支援員などが行う直接支援は、成年後見人等の役割ではありません。基本的には、直接関わる支援ではなく、直接関わる支援を利用するためのサポートをするのが役割であるとイメージいただければよいかと思います。 財産管理としては、預貯金や不動産などの財産を把握し、収支計画をたて、毎年1回財産目録を作成し、家庭裁判所に報告する必要があります。その他、相続手続き(ご本人が相続人になるもの)や不動産売却(居住用不動産の場合は家庭裁判所の許可が必要)などイレギュラーな業務にも対応します。




07 申立てに必要な診断書は誰に書いてもらうの?


医師に書いてもらう必要がありますが、精神科医でなくても可能です。 書いていただける場合は、本人のかかりつけ医に依頼することもできます。




08 申立てに必要な診断書の書式はどんなもの?


家庭裁判所で診断書のひな形がありますので、そちらを利用します。 管轄の家庭裁判所によって若干様式が異なる場合がありますので、 ホームページや郵送で、申立書類とともに取り寄せましょう。 ※リンクは、さいたま家庭裁判所のものです。




05 申立てに必要な書類は?


申立書・申立関係書類は以下のとおりです。 ①後見・保佐・補助開始等申立書 ②代理行為目録(保佐・補助のみ) ③同意行為目録(補助のみ) ④申立事情説明書 ⑤親族の意見書 ⑥親族関係図 ⑦収支予定表 ⑧財産目録 ⑨相続財産目録(本人を相続人とする相続財産がある場合のみ) ⑩後見人等候補者事情説明書(候補者がいる場合のみ) その他、添付書類として、戸籍謄本、医師の診断書などが必要となります。 詳しくは、下記リンクをご確認ください。 参考) 必要書類一覧表 ※リンクは、さいたま家庭裁判所のものです。必ず、管轄の家庭裁判所でご確認ください。




06 本人情報シートとは?


医師の診断や家庭裁判所がご本人に必要な支援を検討するうえでの参考資料となるものです。 ご本人の支援に携わる福祉関係者に作成を依頼するのが一般的です。 詳しくは、 本人情報シート作成の手引(最高裁判所事務総局家庭局)をご覧ください。 ※リンクは障害のある方に必要な箇所を抜粋しております




09 登記されていないことの証明書とは?


前提として、ご自宅であれば「不動産登記」、会社であれば「法人登記」などをしていますが、後見を利用すると「後見登記」というものをすることになります。 つまり、申立ての段階で「登記されていないことの証明書」を取得する意味は、まだ成年後見制度を利用していませんよ、ということを証明するために必要となります。




10 登記されていないことの証明書はどこで取得するの?


法務局で取得することになります。家庭裁判所では取得できませんのでご注意ください。 なお、どこの法務局でも取得できるわけではありません。郵送の場合は東京法務局のみとなります。くわしくは、 裁判所ホームページをご覧ください。




11 後見人等候補者事情説明書とは?


誰を後見人等にしたいかの希望がある場合は、申立ての際に「後見人等候補者事情説明書」を作成する必要があります(リンクは記載例)。これは、候補者が作成するものです。 なお、候補者を専門職とする場合、別途専門職用の書式がありますので、こちらを利用する必要はありません。




01 成年後見制度のなかでもいろいろあるみたいだけど・・・


成年後見制度は、大きくわけて「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。 どちらを利用するかは、「利用開始時点における判断能力」により決まります。利用開始時点において、すでに判断能力が十分でない方は「法定後見」。今は十分だけれど将来に備えたいといった方は「任意後見」といった具合です。 つぎに「法定後見」のなかでも「後見」「保佐」「補助」という3つの種類(類型)があります。どれを利用するかは「判断能力の程度」によります。後見・保佐・補助の順番で支援は手厚くなりますが、裏を返せば、本人が自分の意思で(単独で)できることが減ってしまいます。そのため、支援が手厚い後見がもっともよいといった意味ではありません。




12 一度利用したら本人が亡くなるまで続くの?


 制度利用自体は、基本的に「判断能力が回復する」or「亡くなる」まで続きます。 ただし、その間、一度就いた成年後見人等が変更できないわけではありません。 正当な理由があり、家庭裁判所の許可を得れば、一度就いた成年後見人等を変更できる場合があります。




13 一度決まった類型は変更できるの?


できます。たとえば、利用当初「保佐類型」であった方が「後見類型」に変更するなどが考えられます。




14 成年後見人等が就くと、自由にお金を使えなくなるって本当?


 成年後見人等は、ご本人の財産を管理しますが、1円単位で日常生活に関するお金の使い道を指示する権限はありません。  民法上も、本人が行った日用品の購入その他の日常生活に関する行為については、成年後見人でも取り消すことができないことになっています(民法第9条但しがき)。普段している小さな買い物まで一人でできないとなると、ご本人の自立した生活を過剰に制限することになりますし、取引相手も、逐一相手(ご本人側)に成年後見人が就いているかどうかを調べなくてはならなくなってしまいます。  なお、具体的にどこまで自由に使えるかは、ご本人の生活や財産状況により成年後見人等が判断することになります。また、ある程度まとまった支出については、成年後見人等が家庭裁判所へ相談して判断することになります。  そのため、専門職を候補者とする場合、事前に当該専門職に疑問点を確認しておくことをおすすめします。