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【事例】お子さんが亡くなった後、残った財産をどうするか~「親なき後」における民事信託の活用①~

最終更新: 2018年7月20日

【事例】

 ある父親(70歳)と母親(68歳)の長男(38歳)は重度の知的障害を抱えており、判断能力が不十分な状態です。長男は一人っ子で、現在、グループホームを利用しています。両親としては、長男が今後暮らしていくために、不自由のない財産を残すつもりですが、以下の2つの想いを持っています。

① 自分たちが亡くなった後、長男が入所する施設にきちんと利用料を支払い、お金の心配がないようにしたい。

② 長男が亡くなった段階で、自分たちが残した財産に余りがあれば、お世話になった人や施設に渡したい。


 この2つの想いを実現するにはどうすればよいでしょうか?



成年後見制度を利用するだけで十分?

 まず、①については、成年後見制度を利用することにより、長男に代わり、その生活が最低限度保証されるよう家庭裁判所の監督下で財産の管理を行うことが可能です。

 しかし、この事例のように、成年後見制度においては、長男が亡くなった時点の財産をどう処分するかを親御さんから後見人に託すことはできません。障害のあるご本人のために就任した成年後見人は、あくまで障害のあるご本人の保護が目的ですので、親御さんの想いまでは、かたちにすることはできません。ですので、②については、成年後見制度のみでは実現することができません。



遺言書を作成しておけば安心?

 次に、親御さんが遺言書を作成しておくことで、この想いが実現するかについて、確認していきます。

 実は、この事例の場合、親御さんが元気なうちに遺言書を作成しておくことだけでは、想いをかたちにすることはできません。遺言書は、あくまで一代限りの想いしか残せないからです。ですので、親御さんに相続が発生し、財産が障害のあるお子さんに移った時点で、その財産に関する処分権は、障害のあるお子さんが持つことになります。つまり、親御さんが遺言書でできることは、障害のあるお子さんに財産を残すところまでとなります。



お子さんが亡くなった後、残った財産はどこへいくのか?

 重度の知的障害のある長男が自らの意思で遺言書を残すことは、現実的には難しい場合が多いのではないかと思います。また、この事例において、長男は結婚をしていませんし、子どももいません。一人っ子ですからきょうだいもいません。つまり、親御さんが亡くなった後、障害のある長男には法定相続人がいません。すると、長男が亡くなったときに残った財産は、どこへいくのでしょう。障害のあるお子さんが遺言書を作成できれば、お世話になった人や施設に遺贈することもできます。しかし、遺言書が作成できないとすると、障害のあるお子さんが残した財産は、最終的に国庫に納められてしまうのです。

次回は、民事信託を活用した対策をご紹介いたします。

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