想いをかたちにする準備
障害のあるお子さんに”いくら残せばよいのか”より”どう残すか”を考えましょうということは、繰り返しお伝えしていることですね。
今回は、相続における具体的なイメージをつかんでいただくために、手続きの流れを確認していきます。この機会に、実際に誰が手続きをするのかまで考えておけると安心ですね。親御さんの財産についての想いが、きちんとかたちにできるよう準備をしておきましょう。
相続手続の流れ(遺言書がないとき)
将来、親御さんが亡くなったとき、自閉症・知的障害のあるお子さんに財産を引き継ぐことになります。これが相続です。
しかし、親御さんが残した財産の名義が自動的にお子さん名義になるわけではありません。相続は、下図の流れで手続きを進めることになります。

まず①相続人調査です。これは、誰が相続人なのかを確定させるための調査です。具体的には、役所で戸籍を収集することにより、調査をすすめることになります。
次に②相続財産調査です。こちらは、何が相続財産なのかを確定させるための調査です。相続財産には、不動産、預貯金、有価証券などがありますので、役所、銀行、証券会社などでそれぞれ亡くなられた方の財産を調査をすることになります。
誰が相続人なのか、何が相続財産なのかまで確定したら、どのように相続するのかを相続人同士で話し合います。これが③遺産分割協議書の作成+署名捺印です。遺産分割協議は、①で確定した相続人全員で行う必要があります。
なお、もし残されたお子さんが一人っ子で他に相続人がいない場合は、遺産分割協議をする必要はありません。
そして、この遺産分割協議の内容をまとめた遺産分割協議書をもって、④各種名義変更に移ります。大まかではありますが、これが相続手続の流れです。
誰がやるのかを考えておく
このような手続を確実に行う準備をしておくことも、「親なき後」の準備です。障害のあるお子さんにきょうだいがいれば、そのきょうだいが手続をすすめられるのか事前に確認しておきましょう。特に、相続手続は平日の日中に時間が取れないとなかなかスムーズにすすめられません。また、銀行での手続は混雑状況によって何時間もかかる場合があります。
障害のあるお子さんが一人っ子の場合はもちろん、きょうだいがいても遠方に住んでいる、あるいは平日の日中にまとまった時間が取れない場合は、あらかじめ専門家(行政書士・司法書士など)に相談しておくことをおすすめします。
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行政書士事務所はばたき
社会福祉士・行政書士 山口 翔多