誰が手続きをするのか
「親なき後」の準備は、親が元気なうちにしておくことが大切です。今回は、財産の残し方について確認していきます。
お金について、「障害のある子にいくら残せばよいのか」といったご質問がとても多く寄せられます。もちろん、「いくら残すか」も大切です。しかし、もう一つ大切なことがあります。「どう残すか」です。そのなかでも今回は、誰が手続きをするのかについて確認していきます。
権利はあっても、実際に手続きをしなければ、ご本人のためにお金や財産を使うことができません。特に、障害のある方が一人っ子である場合、考えておく必要があります。
遺言執行者は何をする人なのか?
遺言執行者は、一言でいえば「遺言の内容を実現する人」で、具体的には次のようなことをします。
・相続財産の目録を作成して、相続人に交付する
・相続財産を管理する
・遺言の執行(相続財産の名義変更、登録、引き渡し手続きなど)
・遺言執行の顛末報告をする
相続に関して、相続人ではない第三者の立場の人に手続きを任せておくことは、「親なき後」にとっても有効な選択肢となるかと思います。
誰が遺言執行者になるのか?
遺言の執行をするのは、遺言執行者または相続人です。 しかし、相続人が大勢いたり、遺言の内容に納得していない相続人がいるときなどには、相続人に執行を行わせたのでは遺言の内容の実現をスムーズにできなかったり、相続をきっかけに相続人間に感情の対立が生じたり、あるいは遺言の執行が公正になされない可能性もあります。特に、「親なき後」の場合、残された障害のあるお子さんを保護する必要があります。 そこで遺言者(親御さん)は、遺言によって遺言執行者を指定しておくことができます。遺言執行者には、信頼できる人や専門家を指定するのが一般的です。
なお、遺言作成時に適当な人が見つからない場合などは遺言執行者の指定を第三者に委託することができます。
遺言執行者に指定された者は、就任(就職)を承諾するかどうかは自由であり、また、指定された者が先に死亡する場合もあるので遺言で指定する場合はその点を考慮に入れる必要があります。
遺言によって、遺言執行者が指定されていない場合には、家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求することができます。
このように、親族がいる場合でも、あらかじめ専門家を指定した方がスムーズで確実ですし、親族の負担を減らすこともできます。
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行政書士事務所はばたき
社会福祉士・行政書士 山口 翔多